乳がんその他乳房疾患の検査方法

診療内容に戻る

左に正常な乳房の図を示しました。

乳房に異常を感じ、外来を受診される方で一番多い主訴は「何かができている」あるいは「痛い」「かゆい」
「汁がでる、出血する」
などです。
乳腺の病気には、主に、乳腺症、線維線腫、乳がんほか、乳管内乳頭腫、乳腺炎、その他いろいろなものがあります。

もちろん、これらの中でもっとも重大な病気が乳がんです。
乳がんは、現在女性のがんの中でもっともかかる率が高いもので、日本では年間4万人近くが罹患し、1万人以上のひとが亡くなっています。一生を通して、30人に1人がかかるといわれています。
もちろん、早期に発見できれば治る病気であり、がんの中では比較的ゆっくり発育することが多い(もちろん例外はありますが)ものでもあります。

欧米でも日本でも、乳がんの罹患率は増加していますが、欧米の場合死亡率はこの10年くらいで2,3割減少しています。一方日本では増加傾向にあります。
これらの原因はひとつは、欧米の検診率が6,70%であることに比べ、日本では10%以下であるためではないかとも考えられています。
また、乳がんは、卵巣や子宮ガンのように、年齢とともに増加するというよりは、30才半ばくらいから徐々に増加し、40代後半にピークをむかえます。(もちろん、閉経後も女性のがんのなかではもっとも多いものです。)

やはり、早期発見のためには、無症状であってもある程度定期的に検査をうけることが大切であり、また自己検診をお勧めします

自己検診の方法

生理開始5,6日目がベストです。(乳腺がはっていないためわかりやすい)
まず、鏡の前に立ち、乳房の左右差がないか、皮膚のただれなどがないかを確認します。そして、腕を上げ下げして、皮膚のひきつれなどがないかを確認します。
次に、あおむけに横になり、背中の下に薄いまくらなどをいれて胸をそらし気味にしてから、指や手のひらで乳房をなぞります。
慣れてくれば、かなり小さい異常でも発見できるようになるひとが多いです。




正常乳房



腕をあげたときのひきつれ
実際受診された場合は、まず主訴やその症状が生理周期と関係しているのか(乳腺は女性ホルモンに反応しますので)などの問診のあと、視診、触診となります。
必要であれば、当クリニックでは超音波で乳腺を検査します。
乳がんの約8割は塊を作るタイプであり、かなりの率の乳がんは超音波で疑いの診断が可能といわれていますが、散らばるタイプの乳がんの場合にはマンモグラフィー(乳腺のX線撮影です)が必要となります。
もちろん画像診断以外のものも含めて何か異常所見が認められた場合は、乳腺専門施設のほうにご紹介させていただいています。

なお、乳がんの治療もまた他のがんの治療と同様、非常に進んでいます。
以前は乳房を切除し、胸の筋肉などもいっしょに手術する方法がとられていましたが、現代ではQOLが重視され、コスメティックな面での考慮のもとに治療方法を決めるようになりつつあります。(進行の度合いにもよりますが、現代の日本では3分の2の乳がんの患者さんに乳房温存療法がとられているといわれています)
もちろん、これらの治療法も早期発見にかかっています。
ぜひとも、定期的な自己検診や医療機関での検診をお勧めします。

肋骨

乳腺

脂肪組織

大胸筋

手をおろしているときとあげているときではかなり違います。必ず自己検診では鏡の前でうでをあげさげしてください。(腕の位置を変えることによって、気がつかなかった皮膚のひきつれなどがみつかることがあります。
ひきつれなどあれば医療機関を受診してください。